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本研究科の大学院生 江川美菜子さんの論文が国際誌「Plants」に掲載されました。

トマトや豆を含む世界の重要な食用作物に被害を出している根寄生植物ヤセウツボ属Phelipanche aegyptiaca(以下、フェリパンキ)の吸器では宿主からの栄養を運ぶ「篩管」が未成熟なまま機能していることがわかりました。フェリパンキは宿主植物の根に取り付き、吸器と呼ばれる特化した器官を宿主根に挿入し水分や養分を奪って繁殖します。宿主の光合成産物が吸器の特定の細胞列を通ってフェリパンキに運ばれていくことはわかっていたのですが、この細胞列が他の植物の篩管と同じものなのか、1940年代から問題になっていました。江川美菜子さん(青木教授研究グループ)は、宿主篩管から蛍光タンパク質を吸器に送り込み光合成産物の輸送路を可視化したうえで、細胞の特徴を解析しました。すると吸器の光合成産物輸送路を構成する細胞は、「細胞核」を持ち、「篩板」を持っていないことが明らかとなりました。通常の篩管の細胞では、細胞核が分解され篩板を形成して輸送用のパイプラインになっていますが、吸器の光合成産物輸送路はこの特徴を持ちません。篩管の細胞核分解に関わる遺伝子群は吸器でも発現していることから、細胞核の分解と、光合成産物輸送のための細胞間原形質連絡の形成は、別々にコントロールされていることが示唆されました。本成果はフェリパンキの栄養吸収路に存在するアキレス腱を発見したと考えられ、世界中で問題となっているフェリパンキの被害軽減に向けた全く新しい防除法開発につながることが期待されます。

発表者

Minako Ekawa*, Koh Aoki* (*本研究科所属者)

著書又は発表論文の情報

Phloem-Conducting Cells in Haustoria of the Root-Parasitic Plant Phelipanche aegyptiaca Retain Nuclei and Are Not Mature Sieve Elements.
Plants 2017, 6(4), 60; doi:10.3390/plants6040060. In special issue on “Plasmodesmata and Intercellular Movement.” Published: 5 December 2017.